とある太陽神

 まさしく古今東西といっていいほど幅広く影響を与えているにもかかわらず、そのことを知られていないうえ、あまり話題にも上がることがない、とある太陽神がいます。

 インド・イラン共通の時代からの古い神、ミスラ/ミトラです。
 原初に自然信仰が発生するのは世界共通で、当然この特定地域の神が特別に優れていると言っているわけではありません。(なによりこの恒星系には太陽は1つしかないですし。)

ご参考:外部サイト(ミスラのページ)

1. ミトラス教 : ミトラス
 紀元前後に古代ローマで興った宗教。密教的な性格が強くその全貌があまり知られていません。
 意外なのは太陽神としての性格が強く出ていることですね。ミスラの「契約」という意味があまり教義にはあまり表れていないようです。そこが密儀だったのかもしれませんがw

2. カバラー(ユダヤ神秘主義思想) : メタトロン
 ユダヤ教がゾロアスター教の影響を受けていることは、少しでも文化人類学に興味のある人はご存じでしょう。「契約」という概念は明らかにミスラから取り入れているのが分かります。(おそらく、バビロン捕囚時に…)
 カバラーで言及される天使メタトロンはエノクが昇天した姿とされていて、私の外部サイト(メタトロンのページ)で書いている特徴はゾロアスター教のミスラと似ています。
 名前も見てみましょう。微妙に違うやん、偶然やろとお思いでしょうが、カバラーの経典ゾハールには「MTTRWN」(Metatoron,メタトロン)表記以外にも、「MTRTWN」(Metraton,メトラトン)とか書かれていたり表記がまちまちです。ネットではカバラーのサイトで、翻訳付きのゾハールが無料で閲覧やダウンロードができますので、調べてみたら面白いことが分かるかもしれません。

3. ゾロアスター教 : ミスラ
 最高神アフラ・マズダーに仕えるアムシャ・スプンタの一人、男性のヤザタ、として語られています。

4. インド神話 : ミトラ
 ヴェーダに記されている最高神の一人で、契約に関する記述が見られ、太陽神ともされています。

5. 仏教 : マイトレーヤ(弥勒菩薩)
 未来にブッダとなって現れ人々を救うとされる菩薩。サンスクリット語をラテン語表記すると、Maitreyaとなります。仏教はインドで発生した宗教で、名前からインド神話のミトラに影響を受けているのでしょう。
 ゾロアスター教の話になりますが、ゾロアスター教の経典アヴェスタにはしばしば接尾辞付きで「mithra-ya」と書かれています。「ya」自体には意味が無く、日本語で言えば「ミスラよ!」といった感じでしょう。接尾辞を含んだ言葉がそのまま名前になったんでしょうか。

6. 日本神話 : アマテラス , 天照大御神
 同じ太陽神ですが、日本の太陽神とは関係がないと思っていました。が、日本語では語句の意味が「ama」と「teras」で分かれているので気付きにくいですが、「a」と「materas」で分けると、確かに「materas」の部分が似ていますね。日本語の天(ama)照らす(teras)が先か、「a-materas」が先か…


しかしホント、世間一般的には話題に上がりませんね。
陰謀渦巻く秘密結社の方々もなぜこの神はあまり利用しないのでしょうか?
やっぱり胡散臭い人たちは、ミスラに限らず太陽(光)がお嫌いなのでしょうかねぇ…